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28話 悩み込む王子と、恋するエリゼの視線

Auteur: みみっく
last update Date de publication: 2025-11-13 06:00:04

 頬に指を当てて悩みこむその姿は、中性的であるため見ているととても可愛らしい。隣に座っていたエリゼは、頬を赤く染めてレイニーをぼーっと眺めていた。エリゼの視線は、レイニーの横顔に釘付けになっている。

 にしっしっ……♪ そうだぁ〜エリゼは、王都に詳しいかもしれないじゃないか? 俺の知らない知識を持ってるはずだ。王都に、いろいろと興味がある! 王族なのに王都を知らないって問題だよねぇ……? えへへっ。そう考えると、レイニーは突然いたずらっ子っぽい表情に変わり、ニヤッと笑った。その瞳は、何か企んでいるかのように輝いている。

 エリゼが、レイニーの考え事が終わったと思い、声を掛けてきた。

「お兄ちゃん、考え事は終わった?」

 エリゼが、少し残念そうな表情をしてレイニーに尋ねた。

「どこで遊ぼうかと、考えてたんだぁー。エリゼは、王都は詳しいのかな?」

 レイニーは、エリゼの顔を覗き込むようにして尋ねた。

「うぅ〜ん……あんまり詳しくはないよ。だって、一人で外に出たらダメだってお父さんに言われてるし……」

 エリゼは口をとがらせ、いじけた表情をして地面に転がっていた小さな石を軽く蹴りながら言った。その声には、不満と、少しの寂しさが混じっている。

 あぁ……そういえばエリゼって、セリオス騎士団長に溺愛されてるって聞いたことあるなぁ……と、レイニーは思い出した。実際にエリゼが一人で出歩いたら……うん、可愛いし人懐っこいし……優しいから簡単に拐われるだろうな。レイニーは、エリゼの無防備さに心配を覚えた。

「そっかぁ、じゃあムリか……」

 とレイニーが残念そうな表情をして言った。その声には、本心からの落胆が滲んでいる。

「え? えぇ!? ムリって何が!?」

 エリゼが前のめりになり、レイニーに近づき、目を丸くして驚いた表情で聞いてきた。その瞳は、レイニーの言葉に反応し、大きく見開かれている。

 ん?? 何を驚いているんだろう? 誘われたことに驚いたのかな? そんなに喜んでくれるんだったら、もっと早く誘ってあげればよかったな〜俺も暇してたんだし。でも、出掛けられないんじゃ、面白くないよね〜。レイニーは、エリゼの反応に首を傾げた。

「何がって、エリゼと城の外で遊ぼうかなって思ってさっ。でも、俺も王都は詳しくないし……エリゼが詳しくなければ危ないだろ? それに迷子になると思うよ?」

 レイニーは、王都へ出ることの危険性を説明した。まあ、迷子の問題は、王都の警備兵を見つけて声を掛ければ、なんとかなると思う。危険性も無いだろうけど……エリゼが心配になるだろうなと思った。

「……行く。行きたい! お兄ちゃんとお出かけしたい!」

 エリゼは話に食いつくように、嬉しそうな表情をして可愛らしい顔を近づけてきた。その瞳は、期待に満ち溢れている。

「勝手に出歩いちゃダメなんだろ? 怒られるよ〜?」

 レイニーは誘っておきながら、不安になってしまい、怒られる可能性をアピールした。エリゼが怒られるのは嫌だしなぁ。

「勝手にじゃなきゃ良いんじゃない? それに……一人じゃないし!」

 エリゼは、レイニーと一緒なら大丈夫と考えているのだろうか。その声には、確かな自信が感じられる。

 俺、自分の暮らす王城すらまともに把握できてない人だよ? 俺なんかを当てにしちゃダメだってぇ〜。逆に、エリゼを頼りにしようと思ってた人だしさっ。レイニーは、心の中で苦笑した。

 エリゼは、仕事で訓練中のセリオス騎士団長を見つめ、声を掛けようか迷っている様子だった。仕事中のお父さんに声を掛けちゃダメだろ……次回、来るなって言われちゃうよ。レイニーは、エリゼの行動を内心で止めた。

♢王子、初めての”外出許可”

 エリゼが父親のセリオスとレイニーを交互に見て、がっかりした寂しそうな表情をしていた。その瞳には、期待が裏切られた悲しみが滲んでいる。実際に父親のセリオスの顔を見るとおじけづき、諦めた様子になった。

 はぁ……ダメ元で聞いてみるか。俺から誘ったことにすれば、次回も来るなとは言われないだろうし。レイニーは、エリゼの気持ちを汲み取り、一計を案じた。

 一応、レイニーには第三王子なので護衛兵が付いている。といっても、レイニーが危険な事をしないかの見張りだが。観覧席の外で待機している護衛兵に声を掛けた。

「あのさぁ〜騎士団長を呼んできてくれるかなぁ?」

 レイニーはニコッと笑顔で話し掛けた。すると護衛兵の顔色が変わり、怯えた表情になった。その顔は、まるで雷に打たれたかのように硬直している。

「え?……騎士団長様ですか? え? 私が? 騎士団長様にお声を?」

 護衛兵は怯えた表情と声で聞き返してきた。その声は、恐怖で震えている。

 嫌なら俺が直接声を掛けるけど? 訓練場に勝手に入ったら迷惑かと思って……気を使って声を掛けたのにぃ……。レイニーは、内心でため息をついた。

「ん……じゃあ、俺が行ってくるからさぁ、エリゼを任せたよ」

「え? わ、私は……レイニー様の護衛でして……」

 だから何? 護衛兵だって兵士でしょ? 訓練場に普通に入れるでしょ。護衛兵だから見守ることしか出来ないっていうの?

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